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ふつう、店先に並んでいる商品のタグに制作者の肩書きを書く人はいない。買う人のことを考えれば、その商品が何であるか、どんな品物であるか、どういうところが売りか、中身について書くのが当然だろう。どうしても書きたいとしたら、包装の中に同封した小冊子にでも記載すればいい。知りたい人は探してくれる。▼そんなことが知りたいわけじゃないのに……という情報を最初に提示してしまう作り手のエゴと、製品の質を追及する素晴らしい精神である職人気質は、しばしば混同されている。職人気質万歳。だが、完成した傑作へのアクセスを、自分が軽く見られたくない一心で隠蔽しようとする行為は、単なる買い手への冒涜である。▼見てもらう努力、知ってもらう努力を捨てることが芸術家的な態度だという誤解はどこから来るのか。優れた職人には気難しい人が多いという怪しい印象を論拠に、命題論理さえ間違えて先に気難しくなろうとするのは実に馬鹿馬鹿しい。
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