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「CG表現がリッチになります」と謳うとき、リッチという形容詞は必ずしもフォトリアルであるということを意味しない。まるで現実のようなディティールは、逆説的に虚構の世界へチープさをもたらすこともある。写真のような砂煙が舞う中で、カメラを動かしても全く光沢が変化しない、のっぺりしたキャラが接写されている様子を想像してみて欲しい。世界の嘘っぱち感は、砂煙を簡素なアニメエフェクトで描いたときよりも遥かに強くなる。▼想像力に訴える世界では、リッチさとはリアルさの平均値ではない。仮にリアルを追及している場合でも、計測には分散を引かなければならない。印象にばらつきがある状態は、特殊な表現効果を狙ってデザインされている場合を除いては、ばらつきの最低値だけで成り立つ場合より劣悪だ。架空の世界について、私たちはその世界の中での不整合に違和感を覚えるのであって、現実との差異に眉をひそめているわけではないのである。
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