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レム・コールハース『錯乱のニューヨーク』読了。「この書を読まずして現代建築を語るなかれ」とは磯崎新の煽り文句。この評価が正しいかどうか、門外漢の私にはわからないが、ここ数年で最大級の知的興奮を誘う書物であったことは間違いない。分厚いちくま学芸文庫が漫画に思えた。頁をめくる手が軽い。▼私にとっては、最近の主題であるグリッド・ミュージックについての考えをまとめる上でも大いに役だった。なんといってもマンハッタンほどグリッドを基礎として築き上げられたメトロポリスは他にない。畢竟、本書は「グリッドとは何か」から「だからどんな街が出来たのか」までの論証を、マンハッタンという事例を元にやってのけた快挙なのだ。淡々とした論証である。▼「だからどんな音楽が出来るのか?」摩天楼の地下に封じられたボザールは、停止した時間の上で、鼓動の復活を待ち詫びるバイオリンの叫びになるのだろうか。――文句なし。星5つである。
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