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雪がまだ街路に残っている。優雅さの欠片もない黒ずんだ雪。岩壁にへばりついたでこぼこが、巨大な生物の瘡蓋に見える。なんとも気持ちが悪い。▼雪が美しいのは静かに降るあいだだけだ。限定された美しさだ。儚さの代名詞にするには、なんとも去り際がよろしくない。時間と共に汚れていく、かつて綺麗だったもの。恋や愛を仮託するには全く不向きだと思うのだが、それでもそうした詩文が絶えないのは、彼らがロマンチストではなくリアリストだからなのだろうか。▼一軒家。駐車場に天蓋を失ったかまくらの残骸があると、この家には小さな子どもがいるんだろうなと思う。そう思って、ある家の手前でふと二階を見上げたら、ちょうどそのとき小さな窓の明かりが落ちた。なんだか拒絶されたようで心寂しく思いつつ、そのまま行き場のない視線を空に向けると、この夜にいちばん明るい星があった。その星のせいで、特別落ちも教訓もない、この記事を書く気になった。
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