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よほど酷い演奏なら、さすがに下手だとわかる。けれども、それなり上手い人の演奏になると、そこから先の良し悪しはわからない。これが良い演奏、こちらが悪い演奏です、と言われて動画例を渡されたが、たしかに両者が著しく違う演奏をしていることはわかるものの、どちらが良いのかを判断する能力は、私にはなかった。たぶん、アドレスを逆にされても何も思わなかっただろう。▼鑑賞の目利き、鑑識眼というものは、経験が物を言う以上に思い入れが物を言う。どうせ主観と客観の二軸のモノサシ、そこに情熱があれば真実などさておき「わからない」とは言わないだろう。誰に反対されてもこちらがいい、あちらがいい、と選びつづける姿勢こそが、いつの日か本物の「見る目」を与えてくれるのだ――こう考えたとき、私がいつも自信をもって甲が良いだの乙が悪いだのと断言してきたのは、文章とデザインだけであることに気がついた。やれやれ、じつに音楽は難しい。
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