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とある人のこと。昔からとにかく筆の早いタイプで、クオリティなどなんのその、思いついたらすぐ書いて本にまとめて、ときにはあっけらかんと締め切りを破りつつ、趣味人としては驚異的なペースで自作小説を上梓している人がいる。思い切りの良さとスピードだけはピカイチだ。そんな彼の作品を久々に読んだら、驚いたことに、一年前まではリズムも悪く無駄の多かった文章が、見事良い方向に洗練されて、素朴ながらも軽快で読みやすい文章に変わっていた。恐れ入る。▼とにかく「無駄が綺麗に落ちた」と言うしかない進化の形だ。新しい表現を取り入れようとか、華麗な言葉遣いを駆使してみようとか、そういう「プラスの努力」で得られる文体ではない。それだけに競争敵も少なく、この方向で量産を続ければ近いうちに無二のポジションを獲得できるかもしれない。本人にも、調子に乗らない程度にやんわり伝えたが、まさに継続は力なりを地で行く良き成長譚である。
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