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久しぶりに寝過ごして数駅先まで進んだら、電車の窓の外からとてつもない異臭が漂ってきた。この臭いは嗅ぎ覚えがある。以前も同じように寝過ごして、現在地の近くの駅で降りたとき、遠くで薬品事故でもあったのではないかと疑いハンカチで口元を押さえるほどの臭気に出くわしたのだ。まさに、その悪臭である。▼嘘か真か、人が新たな空間に進入したとき最初にそこへ飛び込む器官は鼻であり、故に臭気こそ危険を察知するための最大の信号なのだと言う。まして出処のわからない刺激臭など恐怖以外の何者でもない。寝過ごしつつも当該駅で降りるのはやめて、さらに二駅先の終点で折り返した。帰りは窓の閉まった車両を選んで乗った。▼さて、答え合わせは偶然出来た。知らなかったのだが、あの近くには養豚場があるらしく、しばしば風向き次第で臭気が路線の方に突風となって襲い掛かってくるのだそうだ。わかってしまえばなんだというあっけなさ。しかし驚いた。
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