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レイ・ブラッドベリ『華氏451度』読了。サイエンス・フィクションというより純粋な心理小説に近い気がする。ここには何の目新しいテクノロジーもない。度肝を抜くような社会制度もない。どれくらいの未来なのかもわからない。ただ、本は焼かれていく。人の心を惑わす悪魔として。存在してはならない物として。「華氏451度――本のページに火がつき、燃え上がる温度……。」▼想像以上にテンポが良くて面白かった。本文は二重丸だ。しかし、その内容にちなんで、若者が本を読まない現代にあっては、人の心に対しても読解力のない人間が量産されているという解説者の言い分には同意できない。書籍など太古の昔から存在していたわけではなかった。私たちの子孫は、互いに心を理解できない野蛮な生物だったとでも言うのだろうか。本の素晴らしさは本好きなら誰でも同意するところだが、読まない人間に心の綾を認めたがらないのは行き過ぎた悪癖であると思う。
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