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アルフレッド・ベスター『虎よ! 虎よ!』を読了。昨日、途中でやめるつもりが午前四時近くまでかけて最後まで読みきってしまったので、今日は仕事がつらかった。三百頁を過ぎてから途中でやめるのは不可能だ。▼今、SFを一冊だけ貸してくれと言われたら、やはりそれでも『ユービック』を貸すだろうが、二冊目があるならこれを渡したい。復讐の炎に焼かれる主人公の心のまま、結末まで引きずりまわされる、じつに暴力的な作品である。いいぞ。もっとやれ。ここまできたら徹底的にやってしまえ――怖いもの見たさの野次馬根性もくすぐられるようだ。それだけに、唯一不満があるとすれば、それまでの単純明快な流れを突然打ち切り、文章的にも状況的にも錯綜した終幕付近だろうか。あそこで置いてけぼりを食らう読者は多いと思う。▼技巧的にはテンポの良さが特筆。特にシーンの切りかえが上手い。映画化を待つまでもなく、映画を見ているような読み口だった。
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