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めずらしく人から借りた本を読んだ。『虎よ!虎よ!』を貸したら二冊になって返ってきたのだ。とにかくひどくて面白いから読んでみろと言われ、半信半疑で表紙をめくったのが今日の朝。裏表紙に辿り着いたのが帰りの電車。とにかくひどくて面白かった。なるほど鬼才だ。思わず貸したくなる気持ちもわかる。▼『野アまど劇場』読了。最初の行を読んでいるうちはまだ真面目な短篇集かと思っていたがとんでもなかった。常識破りの短編遊びだ。いわゆる「ぶっ壊れギャグ」に属した見かけでいながら、展開づくりと筆の運びはいたって冷静。緩急こそが笑いの源、まさに計算尽くの壊れ方だ。驀進するノリとテンションだけでは上質なギャグは生み出せないという好例である。▼さんざ好き放題やっておきながら最後の方は小綺麗な秀作で固め、なんだか心温まる良い作家だったな……という改竄された印象を残そうとする、短篇集そのものの編み方もじつに姑息で素晴らしい。
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