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陳腐化という言葉は長いライフサイクルを想像させる。なにごとも栄華の時期が存在すればこその衰退だ。いつか「あれはもう古いよね」と言われる作品を生み出すことも芸術家のひとつの夢ではあるまいか。▼昨今のコンテンツは完成の瞬間から風化が始まり、誰かの分析を待たずして世の中から消える。風化の速度が速すぎてライフサイクルすら描けない。作品は制作途上でカテゴライズされ、完成と同時にコモディティ化し、消費の重力に晒されてデータベースの中に埋没していく。これこそ自らの思想を体現する作品だと主張する暇もない。消費、制作、消費、制作……脅迫的な永久連鎖がつづく。▼「誰もいない部屋で鳴る音楽に価値はあるか。」そんな哲学に興じているうちは平和だったのかもしれない。「誰かの耳元で鳴る音楽に価値はあるか。」音楽の価値を誰も想像できなくなったとき、音楽は終わる。ストーリーテラーの次に失権するのはアーティストかもしれない。
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