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写真が趣味だというカナダ人が、カメラほど金のかかる趣味はそうないと言うので、いかにオーディオが金食い虫かについて解説を加えつつ、私にはひとつ納得のいかないことがある、という話をした。折にふれて思うことではある。写真が趣味の誰かが十万のカメラを買うと、「本格的な趣味だね」と肯定的な感嘆で迎えられるのに、音楽が趣味の誰かが十万のイヤホンを買うと、まっとうな金銭感覚のないクレイジーだと言われるのはなぜなのか。▼カメラでもイヤホンでも、安物と高級品の違いはたいてい判別できる。素人には違いがわからないという理由は妥当ではない。しかし、違いがあってもそれを歓迎できない、たいして嬉しくないという感覚は、眼よりも耳の方が強いのではないか。眼は同時に二つの写真を比較できるが、耳は同時に二つの音楽を聴き比べることはできないから、片方に慣れればそれでいいという妥協が生まれやすいのではないか。そんな結論を出した。
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