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ホロヴィッツの全集はないかと尋ねては「在庫はありません」と言われるやりとりを、ありあまる期待から二回ほど同店舗で繰り返した甲斐か、忘年会の帰り道、ぎりぎり滑り込んだタワーレコードでクラシックコーナーの全集棚にストンと「オリジナルジャケットコレクション」が鎮座していた。▼財布と会議。数々の古い録音。マスタリングの品質が悪いのはわかっている。モノラルなのもわかっている。とくに聴きたいと思わない未知の曲が山ほどあるのもわかっている。しかし、とりあえずは買ってしまった。ひとたび入れ込んだら負けである。▼ジジジジジ、という耳障りなノイズの向こうで小さく鳴るピアノの音はたしかに心地よいとは言えないが、そういうものだと脳に思い込ませてしまえば耳もノイズに慣れるもの。ある程度は演奏の妙味を味わうこともできる。それでも録音に満足できなければ、あとで必要な物だけ揃えればいい。まずは目録に目を通したいのである。
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