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『ポアンカレ予想』を読了して、400頁の本を読んだわりには読書の愉しみも数学への興味も含めて得るところは少なかったかな、とS&Hシリーズ全体への信頼を失いかけるほど落胆気味だったのだが、『ケプラー予想』を読み始めて諸々不安な気持ちがすっかり吹き飛んだ。そうだよ、こういうのが読みたかったんだよ。▼難解だから悪書、易しいから良書と言う気はさらさらない。岩波の「不完全性定理」本は極めて難解だが感動的な仕上がりだった。それでは何が差かといえば、これはもう著者の物書きとしての力量の差と言うしかないのだと思う。この人の話はなんだか面白くないとか、あの人の話は凄く引き込まれるとか、そういう類の文章版だ。▼優れた数学者が優れた数学の教科書を書けるとは限らない。まして読本、ドキュメンタリーとなれば、求められる能力はまるきり別物である。ノンフィクション衝動買いの折には、著者の経歴にも目を通した方が良いだろう。
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