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デイヴィッド・エジャリー・ゲイツ「後日の災い」はミステリーらしいスリリングな短編だった。良質な物語は想像力をほどよく刺激する。ジグザグに落ちて行くスタッカートを刻みながら、実は旋律線が上昇していくエッシャーのだまし絵のような、素敵なイントロが頭に浮かんできそうだ。だまし絵。知性を装う粗暴、あるいは粗暴を装う知性。▼書棚をふらつく自分の足取りからして、どうやら歴史物に興味が出てきたらしい。数年のブランクを経て再びサイクルが巡ってきたのだろう。「それは今の目的に直接寄与しないのでは?」という誰かの声を強引に押しやって、気ままな心に逆らわないよう何冊か注文してしまう。迷うくらいなら飛び込んだ方がなし。これぞギャンブラー式の処心術、と胸を張れるような稼ぎではないが……。▼無性に目的を立てたくなっては、立てた目的を無視して随意にしたくなる。自由人のようでいて、根底にあるのはやはり怠け者の精神だろう。
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