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「どんな小さなアメリカの町にも、ウォルマートとブーランジェの教え子がいる。」フランス人の音楽教師、ナディア・ブーランジェの影響はとにかく甚大であったらしい。よほど優れた教師だったのだろう。そう思わせる逸話があった。▼二十世紀の始め。まだタンゴが「みだらで不道徳」という不名誉な評判を得ていた時代。作曲家のアストル・ピアソラは彼女に自作の交響曲やソナタを見てもらっていた。「良く出来ているけれども、ピアソラがどこにもいない」というのがいつもの評価だった。やがて彼女がピアソラの本質を探るべく私生活について尋ねると、初めのうちはタンゴとの関わりを隠していたピアソラも、とうとう自分がキャバレーでタンゴを弾いていることを告白した。▼「彼女は目を開けて、わたしの手を取って言った。『おばかさん、それがピアソラよ!』わたしは十年のあいだに自分が作曲した作品を全部取り出して、二秒のうちに地獄に送ってやったよ。」
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