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久々に母校を訪れる。ここ数年で順次改築したとは聞いていたが、敷地を区切る建築やグラウンドの形状、配置、何もかもが様変わりしていて、懐かしい駅から学校までの道のりとは正反対に、もはや校舎に当時の面影はなかった。広々とした食堂、多目的の中庭、階下から仰ぎ見るテラス、教室を支える雄大なピロティ、その向こうに広がる人工芝のサッカー場、右手の屋上にはテニスコート、ガラス張りの立派な職員室。高等学校にして大学のような佇まいである。全く、見事な校舎になった。▼人の変化より場所の変化の方が隔年の思いを強くする。先生たちの頭には白髪が混じり、あるいは抜け落ち、見事に「年を取ったな」と思わせる風貌をしていたが、自分たちも老けている分、それほど強烈にタイムスリップの感覚は生じない。しかし校舎のような場所の記憶が失われると、途端に過去が遠い存在に思えてくるのである。▼学び舎は消えた。記憶の彼方へ。若い未来のため。
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