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スチュアート・アイサコフ『ピアノの歴史』読了。本編を読みきったところで満足してしまい、補遺と解説だけ残して放置していたので片付けた。タイトルから想像されるほど楽器の進化史ではなく、ピアノ成立の契機と逸話にはさっと触れた後、本題はピアニストたちの物語に移る。▼もっとも印象に残ったのは、我々が今はCDのアーティストとしてのみ知るような一流ピアニスト達が演奏の機会を得るため、そして自分の名声を高めるために行うコンサートの巡業がいかに大変なものであったかという話だ。解説の文章を借りれば、「通行不能な道路にガタボロ馬車、悪徳税関、疫病、海賊、追いはぎの難がピアニストたちを待ちかまえていた。十七世紀には、ツアー演奏家は旅先で無縁仏として葬られることも珍しくなかったという。」▼ピアノ。かつて人間が作り出した最も重要な楽器。デジタルピアノ、物理モデリングと形を変えて、今も進化しつづける不朽の発明品である。
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