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表皮効果という現象がある。交流電流が導体を流れるとき、導体の表面ほど電流密度が高くなる――つまり、交流電流は導体の表面を流れやすいという法則だ。この現象による交流抵抗の増加は大電流を扱う場合は無視できないロスとなるため、直流送電の方が有利とされる理由のひとつとなっている。▼さて、例によってオーディオ業界もこの法則に目をつけた。捻り合わせた導線全体を絶縁体でコーティングする従来の方式ではなく、各導線を別々に絶縁することで表面積を稼いだ「リッツ線」により、今まで以上に優れた音質を得られるというのである。オーディオ信号も交流信号であるから、この理屈は科学の説明するところにピタリと当てはまりそうだ。リッツ線は瞬く間にハイクオリティケーブルの常識となった。▼サイエンスとオカルトを駆使して商品を売り込む彼らの手腕には、全く頭の下がるものがある。余談だが、表皮効果はかなりの高周波数でなければ効果はない。
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