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最近、通勤の朝には決まってシューマンの「ダヴィット同盟舞曲集」を聴いている。玄関で第一曲の再生を始めると、第四曲の内声にある持続音の連打が拡がっていくタイミングが、ちょうど私の眠気が晴れていくタイミングに重なっていて、心なしか最寄り駅に着く頃の気分が良いからだ。曲のコンセプトがそうであるように、「動」と「静」が繰り返す短いスパンの変化に富んだ構成も、寝惚け頭にはわかりやすくてちょうどよい。▼「いつの世にも喜びは悲しみと共にある。喜びにはひかえめであれ。悲しみには勇気をもって備えよ。」これはダヴィット同盟曲集の冒頭に書かれているという古い格言。明暗の交互に現れるこの曲集にはぴったりの引用だ。ちなみに「ダヴィッド同盟」というのは、芸術に対して保守的な人々を相手に闘う新しい時代の創作者集団――という設定でシューマンが創り出した架空の団体らしい。シューマンという人は、そういうことの好きな人だった。
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