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スペインがインカ帝国を征服できたのは、銃、病原菌、鉄のおかげであった。しかしなぜ当時のスペインにはそれらがあり、インカ帝国には無かったのか。なぜアメリカ先住民が旧大陸より先に銃や病原菌や鉄を持ち、ヨーロッパを征服するという歴史にはならなかったのか。なぜ、現代社会にはかくも富と権力の不均衡があるのだろうか。▼ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』下巻読了。個々の歴史について深くは掘り下げない代わりに、巨視的な論理の流れはとにかく単純明快。ユーラシア大陸が覇権を握り、南北アメリカ大陸とアフリカ大陸が富と権力の点で後塵を拝しているという、その格差が何によって生まれたのか、どこでどう差がついたのか、遡って遡って、ついには人口、食料生産の開始時期、栽培可能な植物の分布、家畜化可能な大型哺乳類の数、大陸の形状という解答に辿り着くまでの、壮大な想像力の物語である。話題の本が素直に面白いのはめずらしい。
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