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棋聖戦第四局。度肝を抜かれる一手を見た。▼後手・豊島七段の6二金に対して叩いた先手・羽生棋聖の6三歩。手駒に一枚しかない貴重な歩を放っての強気な攻めだが、これ自体は驚くような手ではない。事件が起きたのは豊島七段がこれを取らずに6一金と引いた後。三十分近い長考の末、羽生棋聖が指したのはなんと、6二歩成であった。▼思わず目を疑った。馬鹿な!と叫びそうになるほど、羽生の手としては驚愕である。6三歩と叩いて6一金に6二歩成ということは、同金で一歩丸損。一手前に自ら叩いた歩の完全否定ということだ。結局、打ってみてから活路のないことに気づいて、すかさず反省したということだろうが、羽生さんクラスの人にもこんなことがあるのかと妙な息が漏れた。▼しかし、貴重な歩をタダで捨てる羽目になっても、結局は勝ち切るあたりが最強棋士の面目である。6二歩に対する勝負後のコメントは「恥ずかしいのですが、仕方がない」だった。
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