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私の文章はよく漢字を開き過ぎだと言われる。ここの記事がそうでないのは、つとめて閉じているからだ。本当ならもっと開きたい漢字はたくさんあるが、記事という体裁を意識して常識的な漢字濃度を選んでいる。しかし、同じように意識しているはずの文章でも、たまに「素」が出てしまうらしい。小論文を査読してもらったら、これがひらがななのはどうだろうと首を傾げられた箇所がいくつかあった。指摘されて読み直すと、たしかに論文としては柔らかすぎる印象である。査読者のセンスも素晴らしい。▼小説やエッセイのように自由が効くところなら、読みにくくない限りは遠慮なく開いていく。単に重たくなるのが嫌いだからかもしれないし、目が悪くて密度の濃い文章が嫌いだからかもしれないし、ひらがなのほうが形の好きな単語があるからかもしれないし、中勘助の散文に影響を受けているせいかもしれない。漢字の開きグセ。今となっては出処の不明なクセである。
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