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入社以来、捨てずに取っておいた会社の「業務ノート」をシュレッダーにかけた。全四十二冊。メモ、計算用紙、アイデアノートの役割を一身に担ってきた偉大なる紙の堆積である。▼退社するからではない。単純に、四十二冊のノートを保管する場所がなくなってきただけだ。それに私は昔から紙類をすぐボロボロにしてしまうクセがあるので、どのノートも端がぐちゃぐちゃで、水に漬けたあと乾かした本のような、ごわごわで酷い有り様になっている。保存する気がハナからないのだ。いつか見直すかもと思ったこともない。今まで取っておいた方が不思議なのである。▼とはいえ、裁断口が薄く割かれたノートを飲み込んでいるあいだ、過去の落書きをしげしげと眺めてみたりもした。業務の全てがここにある。小学生の頃、全教科を一冊のノートで賄っていたせいで、宿題を提出すると他の科目が板書できなくて、先生に怒られたのを思い出した。性格は変わらないものである。
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