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文章術を指南すると称する書籍は、ここ数年で飛躍的に増えた。それも昔とは明らかに傾向が変わっている。美文・麗文を書くための作法は急激に鳴りを潜めて、わかりやすく読みやすく、人にメッセージを伝えられる文章、共感を得るための文章を教える本が主流となっている。これらの書籍の読者層が、小説家の卵から、ブログやフェイスブックの著者へと移っている証拠だろう。▼黎明期には日記のデジタル版か、公開されたマニアックなメモ帳くらいの位置づけであったブログが、いつしか「私」をわかってもらうための主要な道具になった。ブログをまずく書くことは、「私」をまずく理解されてしまうことに繋がる。それはいやだ。読者には「私」を上手くわかって欲しい。そのためには文章力を磨くしかない――こういう流れで、目下、教育が頑張っても身につけさせられなかった文章力を、皆が自発的に鍛えようとしているわけだ。「私」以上の学習動機はないのである。
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