400
Post/Edit Page
優れた物語は、国ごとにローカライズされたり、現代風に翻訳されたり、あるいは演劇のように形式を変えたりしても、その魅力が失われることはない。名作を名作たらしめているのは核となるアイデアであり構造であって、些末な皮相ではないからだ。傑作には強い可塑性がある。ちょっとした改変などに負けたりはしない。▼ところで編曲をめぐる世界には「原曲原理主義」とでも呼べる一派が存在する。彼らは編曲という行為を原曲に対する冒涜と考えている。いかなる編曲も原曲の劣化に過ぎない。原曲というオリジナルこそが唯一の至高であって、編曲なる二番煎じは全て一聴だに値しない駄作だと彼らは主張する。原曲万歳。▼なるほど、であれば原曲原理主義者とはつまり、原曲の価値を最も低く見積もっている人たちであると言えそうだ。皮肉なことだが、そういうことになる。我らが神は病弱なり。イデオロギーが本質に先行して本来の敬意を見失った形の好例だろう。
pass:
Draft