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片山杜秀『音盤考現学』読了。いや、これは凄い。こう言ってはなんだけど、これこそ知性ではないか。あまり馴染みのない社会学的な分析から、全く知らない日本の作曲家の考察まで、本当なら興味を失いそうな題材なのに、なぜかスイスイ読めてしまった。これは文章が巧いのだろう。こうもぎゅっと凝縮されていて、しかしわかりやすく説得力がある文体というのは、なかなか稀有である。あやかりたいものだ。▼ただし、音楽に歴史に人の名前から曲の名前まで縦横無尽に固有名詞が飛び交うので、西洋音楽にも邦楽にも、あるいは時代劇にもさっぱり通じないとしたら、さすがにとっかかりがなさすぎるかもしれない。各ジャンルについて少し下調べをしてからの方が、確実に片山杜秀ワールドを楽しめるだろう。▼とにかく久々に痛快な本を読んだ。早速続編を注文している。もしアマゾンレビューに星を四捨五入の小数でつける機能があるなら☆5.4をつけたいところだ。
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