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村上春樹の『海辺のカフカ』を読んだとき、私の感想は「面白いけどよくわからない」であった。文体や語り口の柔らかさは性に合うし、物語にもそれなり納得できたのに、なぜか苦手な作家のような気がして、それ以来は小説を読まなかった。惹かれるものは多く嫌いなところはないのに、なぜか遠ざけてしまう作者。ある意味では不思議な関係性とも言える。▼ならば小説でなければどうか。ちょうど、村上春樹『雑文集』が最寄の書店で平積みだったので、ちょっと立ち読みしてみたところ、やっぱり面白い。いや、少し記憶にある印象よりも回りくどいかな、などと思いつつ、たしかに雑文なら抵抗なく楽しめそうなので、ちょうどしばらく軽い読み物を読んでいなかったから、ブームに乗せられた感はありつつもさっくりと買ってみた。▼特に理由もなく、一方的に距離を保っていた作家との奇妙な再会。もしかしたら村上春樹の小説にちゃんとあたれるいい機会かもしれない。
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