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『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読み進めている。下巻の後半。もうすぐ終わるところだが、まあ、控えめに言ってもそんじょそこらのファンタジーよりだいぶ面白い。ただ、『雑文集』を読んだ後だと思うところもたくさんある。何より「ハードボイルド・ワンダーランド」の方の主人公があんまりにも作者その人過ぎて、シリアスなシーンでも笑いをこらえきれないところがあるのだ。陰鬱なシーンで街を歩く「私」が目にするのは、中日対ヤクルトの試合結果である。ヤクルトは6−2で負けていた。もちろん村上春樹は熱心なヤクルトファンである。▼他にも、『雑文集』で書いていた趣味の諸々が、みっちりと「私」の趣味になって小説中に散りばめられている。他の作品はどうか知らないが、設定年齢が近いこともあるし、恐らくこの「私」こそが村上春樹本人にいちばん近いのではないか。作者も遠慮無く自分を憑依させられたのではないかと思った。
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