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さて、村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』読了。じつは結末は『雑文集』でさりげなくネタバレされていたから知っていたのだが、そのせいで面白みが半減したということはないと思う。むしろ、その結末に向かっていくことを知っていたおかげで混乱せずに読めたかもしれない。どうしてこの物語が面白いのか、この物語の何がそんなに私を引っ張っていくのか、説明は出来ないが面白かったというしかない。▼彼の小説が興味深いのは、小説の中に出てくる何かを暗示していそうな事物が、いかにも作者の計算によって拵えられましたという感じがなくて、あたりまえのように物語世界の中に登場してくるところだ。全ては登場すべくして登場しているので、こちらとしてもいちいち、これには意味がある、意味がないと考えたり疑ったりする必要がない。全てがありえそうだと思えてしまう。これこそありえない世界を描くファンタジーの醍醐味であろう。
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