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年末のゴルゴ13巡業は滞り無く5巻へ。通しで読んでいると作品の巧いところが目についてきて面白い。とくに作中の時間の流れ方。序破急のテンプレートをなぞるようなブレない構成と、ゴルゴの仕事に与えられた不可能スレスレの時間制限、これだけで一定の面白さは約束されているようなものだ。▼ハリウッドの脚本術も口うるさく指摘しているように、読者の興奮を掻き立てるシナリオには必ず時間制限がなければならない。『ゴルゴ13』は忠実にそれを守っている。いつ狙撃してもいいようなターゲットなんて絶対に出てこない。いつでも脱出できるような窮地に置かれたりもしない。デューク・東郷に与えられる猶予の時間は、僅か数日であり、僅か数時間であり、ときには僅か数秒である。つまり、いつも僅かである。「いつも僅かである」ということだけが重要だ。時間の多寡は関係ない。読者にそう感じさせるお膳立ての巧さこそが、即ち話作りの巧さなのである。
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