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今、フロアを最も踊らせる男――アヴィーチー、ことティム・バークリングのデビューアルバム『トゥルー』を聴く。なるほど、世界は今、こういう音楽で踊るのか。▼どの曲も想像より遥かにシンプルな構成で、キックも背景に溶け込んでいったような穏やかな主張しかしていない。最初、すべてがまろやかに流れすぎていて少々物足りないような気もしたが、しばらく聴いているうちに、こうしてヘッドフォンで聴くのではなく実際にフロアで身体を揺らして踊るためには、これくらいのまとまりがちょうどよいのではないかと思い始めた。逆に、踊らないことを前提に作られた視聴用のダンスミュージックの、あの原音のエッジが効き過ぎたつくりの方が不自然なのかもしれない。▼もとよりダンスは刹那的な快感が本懐だ。そこは、記憶に残る名曲という迷信からも解放された世界である。この「刹那のエネルギー爆発」を生み出せる力こそ、名DJには求められているのだろう。
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