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弁証法。テーゼとアンチテーゼの衝突からジンテーゼに至る。これは西欧大陸が辿り着いたひとつの統一的自己分析でもあった。何かにつけて対立させることで、より優れた結論を生み出すというやり方は、こうひとくくりにしては怒られるかもしれないが、西欧文化的な気質の代表格である。彼らは戦うことで高次元に進むのだ。▼そこへ行くと、私たち日本人の使う言葉に「落としどころ」という単語があることは興味深い。ジンテーゼの砕けた日本語訳としては悪くないと思われる。そうして、何より注目に値するのは、彼らが対立の末「上へ」行くのに対し、私たちは対立を避けて「下へ」落とすところである。大陸がぶつかって山が出来るイメージとは対照的に、「落としどころ」の文化では、対立する二者はお互いの距離と速度を測りつつ、いい感じに自ら折れて下向きに融合点を探っていくのだ。▼まあ、適当きわまりない言葉の文化論だが、言いたいことは伝わると思う。
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