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二年くらい前の話。オシャレというほどではないが、フォーマルな恰好をもう少しブラッシュアップしてみようと新宿の伊勢丹を訪ねたことがある。予算はほどほど。ジャケットの一枚でも良いものが見つかれば御の字と思っていた。さて、しかしぐるぐると各階を周回した後、私は手ぶらで帰りの電車に乗った。理由は至って単純だ。ここで洋服を買うなら頭からつま先まで全部揃えないと意味がない――そう感じたからである。▼着古したTシャツに薔薇を差しても逆効果にしかならないように、オシャレも全体の釣り合いが取れていなければ滑稽となる。これを転じて音楽畑に話を移してみれば、私の苦手とするテンションやアボイドのようなオシャレコードも、かっこいいからと言って安易に真似たり捻じ込んだりすれば、前後から浮きに浮いて間抜けな音にしか聞こえないだろう。積み上げたお膳立てがあっての「かっこよさ」である。部分的に取り入れることはできないのだ。
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