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文学者の全集は目次を見ているだけで面白い。小説作品のみならず、評論から小品、書簡まで収めている本物の「全集」なら尚更だ。本当なら、それでも作家の「全て」では到底ないのだけれど、少なくとも読者を想定して公開された文書の全て、つまり「作家としての彼」の全てがそこにある、と思うと、最初から最後まで読んでみたいと思う気持ちはいやが上にも高まる。不揃いの中古全集が一気に値落ちする理由でもある。▼全集を読みたいと思うライトファンにとって、最大の障壁は価格よりも大きさであろう。もしも志賀直哉や里見クの全集が文庫で出てくれたら、私は間違いなく買うし読む。志賀直哉全集はいまだに我が家のガラス戸に守り神として鎮座しているが、読み直したいと思って開けるたび、重量に圧倒されて元に戻してしまうのだ。▼そういうわけで私は「ちくま日本文学」シリーズのようなノリで、作家の全集を次々と文庫化してくれる企画を待ち望んでいる。
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