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高校の時の古典教師がよく言っていた。作家にはそれぞれ適齢期があると。退職の折の送別会でも同じことを言った。俺の年ではもうミシマやダザイは読めん。お前らの年だってどうか。十代、せめて二十代でなければ。読んでいても照れくさい。▼三島、太宰は私が意識して避けてきた作家の代表二名である。もちろん食わずぎらいだ。読書初めの頃、二十世紀生まれの作家はひとまずやめようと決め込んでいたので、それこそ三島の恩師にあたる川端が1899年生まれでぎりぎり。そこから先は触らずで済ませているうちに、適齢期を過ぎてしまったのである。▼しかし今、やっと三島に手を出す決心がついた。気まぐれも込みで理由はいろいろある。適齢期云々についても、ここ最近の経験で私の精神は他人にちょうど十年ほど遅れていることがはっきりとわかったから、それなら十歳差し引いてぴったりだ。立ち読みでも拒否反応はなかった。今なら読める。そう思うのである。
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