400
Post/Edit Page
『カールじいさんの空飛ぶ家』を観る。好奇心の塊なおじいさんがあれやこれやと手を尽くして我が家を空に飛ばしてしまう――そんなポップでコメディな物語かと思っていたら全く違った。けっこうシリアスでドラマティックなファンタジー冒険譚である。私の評価は高い。▼たかが風船で家がまるごと空を飛んでしまったり、それが一昼夜のうちに北アメリカから南アメリカへ辿り着いてしまったり、階段の登り降りもままならないご老体がテーブルマウンテンの密林でハリウッドばりのアクションを繰り広げたりと、ツッコミどころは満載なのだが、そのツッコミをギャグではなくシリアスで回避しようとしている点は面白い。ありえない出来事をさもありなんと思わせるために、その無茶ごとを主人公たちの真剣な動機と行動の中に埋め込んでしまうやり方だ。真剣に妻の夢を叶えたいと願う男が風船で南アメリカを目指すなら、それは間違いなく馬鹿げたことではないのである。
pass:
Draft