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後方不注意でサボテンにぶつかった。砂漠を歩いていたわけではない。狭い雑居ビルの屋上へつづく階段に、大きなサボテンが置かれていたのだ。ちょうど人を避けて後ろ向きにあがったところ、ちくりと太ももを刺されたのである。薄暗闇の中に潜むサボテン。視界のみならず意識の外でもある。刺されるまでは気づかなかった。▼踏み込みが浅かったので大きな怪我はないが、ズボンの裏側が何箇所か貫かれてしまって、指で触るとわかる程度のほつれが出来てしまった。今はまだ小さいが、洗濯で広がらないか心配だ。ポケットに穴が開いたりチャックが閉まらなくなったり、今度はサボテンに貫かれたりで、今年は信じがたいほどのズボン厄年である。▼腰回りのサイズが変動する都合、上と違って下にはあまり金額をかけない主義だった私が、はじめて少々奮発してみたズボンの初週の運命が、よりによってサボテンとは。小説にしても現実味がなさすぎて使えないネタだろう。
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