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庭の蛇口からホースをひいて、二階のベランダを掃除する。十年くらい雨ざらしにされていた場所だけに、どこもかしこもすこぶる汚い。漂白剤に浸したデッキブラシで青カビを落とし、煤や木屑は水圧で掻き集めて捨てる。雀の巣のせいか、手摺にはいくつも鳥の糞がこびりついていた。これを拭うのがまたけっこう大変な作業だったりする。日の落ち始めた夕暮れ時の水仕事である。▼潔癖とは思わないが、人並み以上に虫や汚れが苦手な私にとって、入り組んだ場所のドロドロやベトベトは見るのも嫌な存在だ。ただ、見るのも嫌だからこそ、それを自分の手で駆逐していける清掃作業というのは案外楽しい。ピカピカになった場所を眺めて悦に入るというよりは、まっさらな表面に突き出した不規則な凸凹を削り落として、生理的な快感を得るような感じである。瑕疵のない完成品を鑑賞するよりも、不快感を削ぎ落としながら制作を進めている最中の方が楽しいのと同じである。
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