400
Post/Edit Page
マグロの刺身を焼いて子どもの夕食に。彼の苦手な牛肉のような外観。やはり警戒して食べない。旨いとわかっている鱈チーズコロッケばかり貪る。これは今日も好きなものだけ頬張ってごちそうさまのパターンかなと思っていた。ところが、妻が「これ魚だよ」と言うと、魚は彼の大好物なので、そうだったのかと言わんばかりに注目して手を伸ばし、警戒しつつもついに食べた。食べればもちろん旨いので、なんだ旨いじゃないかと次々口に運んでいく。食わず嫌いがひとつ解消された。▼この出来事は、物や絵を指して名前を照らし合わせる段階から一歩先に進んでいる。彼は恐らく、焼きマグロを自分の嫌いな肉だと思っていた。それを「サカナ」と言われて自分の好きな魚なのだと認識し、食べようという気になった。人の言葉が意味する想像上の概念によって、自らの意思を変えることができるようになったわけだ。一歳と六か月。いよいよ彼も自然言語の世界に入門である。
pass:
Draft