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子どもと中華屋さんで昼食を取ったときの話。▼近頃、ようやく色の概念を理解してきたので、真っ赤なソファ席を指して「これは?」と訊いた。「あか」と言う。じゃあ、と今度は着ている服の青い部分を指すと「あお」と返事。他にもいろんな赤や青を言わせてみたが、ときどきは言い間違えるものの、すぐに訂正して正しい色名を言い直す。赤と青はちゃんとわかっているようだ。▼しかしあるとき、真っ黒なテーブルの側面を指して「あか」と言った。ついに飽きて適当なことを言い始めたと思い、それは赤じゃないでしょうと嗜めた――が、嗜めた後で気がついた。たしかに、ソファの赤みが映り込んで、黒よりは赤に近い色をしている。ここだけ切り出したら赤が正解ではないか。黒だと思い込んでいたのは、黒いテーブルであるという認識に引きずられた私の方だったのだ。▼色を覚え立ての子どもの方が優秀な画家の目で世界を見ている。考えさせられる出来事であった。
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