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外山滋比古『乱読のセレンディピティ』読了。このタイトルと、サブタイトルの「思いがけないことを発見するための読書術」がすべてを言いつくしている。精読ばかりしていると視野が狭くなって専門バカになるので、もっと気ままに乱読して思いがけない発見に出会いましょうという話だ。▼言いたいことはわからんでもないが、若い人には勧めたくない。狭く深くか、広く浅くかという二択は、何万回も繰り返されてきた問いであって、そのたびに結局は広く深くを目指すべきという正論に落ち着くのが常だが、先に広げるか深めるか、その順序は深める→広げるの方が理想的と思われるからだ。何かを深めた経験のない者は広げる速度も遅い。逆に、関連の薄い何点かの領域について深く極めれば、そのあいだは自然と埋まっていくものである。著者自身の人生についても明らかにそうなのだが、本の主張がそうはなっていないところに齟齬があると思われた。星は三つにしたい。
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