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朝。電車に座っていたら、かなりご年配のおじいちゃん、おばあちゃんが三人組で乗ってきた。席がひとつだけ空いていたので、三人のうちの一人が座る。私の二つ隣である。隣には中学生の男子が座っていた。私が席を立つと、その子はさっと席をスライドしてご老人たちが隣り合って座れるようにした。おじいちゃんが一人、つり革に取り残される。まもなく、中学生の向こうにいる若い女性が席を立った。中学生がまたすっと席をスライドする。晴れて、おじいちゃん、おばあちゃんは三人で席に座れることになった。▼いろいろい言いたいことはある。だが、何より悲しかったのは、そのスライド中学生の制服が紛れもなく私の母校の制服だったことだ。若いんだから君が譲りなさいとか、そんな説教臭いことを言うつもりはないが、二度もスライドして席を守り、スマホゲームに興じる遠い後輩の姿を見るのは、OBとして寂しいものがある。制服は学校の名を負っているのだ。
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