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たいていの「よくある問題」には、愚直だが最も効果的と言われる策がある。定石というやつだ。しかし、定石があるのになぜ「よくある問題」なのだろうか。▼ここには宿命的な循環がある。定石は、愚直であるが故に何らかのロスを伴うことが多い。あるとき誰かがその無駄を指摘する。「こうした方がもっと効率的では?」定石が最適であると主張できる知識や経験を持った人がいないと、皆、その指摘が正しいと思い出す。何しろ無駄があるのだから。定石の払っていた必要経費は削減され、束の間の貯金が手に入る。そうして「よくある問題」が土の下で生まれる。芽吹くのは終盤である。彼らはなぜ、定石が定石であったかを知ることになる。▼新規性の追求が若手の特権と言うわけではないが、新しい方法論は、たいていフレッシュな若手から提示されるもの。そのとき、絶対に変えるべきでない石の在処を論理的に説得できるベテランがいないと――歴史が繰り返される。
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