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逃避としての芸術は瞬間的に成功する。何かから逃げるという行為は、莫大なエネルギーを要求する戦いだからだ。戦いこそがアートを生む。逃避が必死であればあるほど、作品は輝く。だから、現実からの逃避は、しばしば偉大な傑作を生む。▼だが、問題はそのあとだ。つらい現実から、つまらない生活から、逃げてしまった先にもう戦いはない。苦しみはあるかもしれないが、苦しむことと戦うことは別である。戦うためには、再び戦場へ出ねばならない。逃げてきた場所に帰らなければならない。しかし、そう簡単に逃げたり戻ったりできたら苦労はしない。実際は、逃げたら逃げたきりである。謎の傑作がひとつ残り、炎は消えていく。▼今のご時世、刹那的な世の中だからこそ、現実にへばりつく勇気はきっと希少価値を持つはずだ。そう、自分の努力を相対的な希少価値で測るという方法は、もう少し流行ってもいい。他の人がやらないことには、少なくとも可能性がある。
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