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ドアの側面に顔の左半面を強打した。眼鏡に当たらなくてよかったが、頬骨が痛い。どうしてそんなことになったか。ドアを開けて部屋から出ようとしたところ、床の荷物に引っ掛かってドアが開かなかったのだ。開かなかったのに、外へ出ようとする上半身は止まらなかった。ごく普通に部屋から出る仕草と共に、顔がドアの縁に激突した。▼人の脳は想像以上に勝手な見込みで行動を促しているものだ。ドアノブを掴んで手前に引くと、ドアは開く。開くはずだから外へ出る。開いたから出るのではない。開くはずだから出る。だが、開かなかった。予想を外したことに反応して、脳は身体にブレーキをかける。こういう順番になっている。▼先のような間抜けを演じるのは、年を取って馬鹿になったからではなく、年を取って身体がブレーキに反応できなくなったからだろう。止まらねばという意志の伝達が間に合わないのだ。そうして、わかっているのに衝突する。間抜けである。
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