400
Post/Edit Page
長男が初めて迷子になった。▼仕事も終わりかけた午後六時過ぎ。保育園へ二人を迎えに行った妻から、長男を見失ったという緊急連絡を受けた。即座にダウンを着込んで外に出る。大通りをダッシュで駅の方へ。そして、最初の信号に差し掛かったとき、向かい側に赤いリュックが見えた。長男がひとりで立っていた。▼泣いてはいない。私を見ても特に顔色を変えず「お母さんがいなくなっちゃったから帰ろうと思ったの」と言う。スーパーの二階から薬屋の前を抜けて、大通りをとことこやってきたらしい。臆病なわりに変なところで胆力がある。だが、もし一人で帰っているなら暗い遊歩道ではなく明るい大通りを選ぶだろうと思ったからこそ、私も大通りを疾走した。家を出てすぐに見つけられたのは幸いだった。▼ベビーカー帯同で急な身動きの取りにくい今が、もっとも危ない。長男にはくれぐれも親元を離れないよう言って聞かせた。だがひとつ疑問もある。明日に続く。
pass:
Draft