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適当な統計やグラフを引っ張り出してきてはファクトベースだとか数字が全てだとか宣う算数オンチが発言力を得てしまったのは、平成末期〜令和初期におけるソーシャルメディアの悲劇であった。決め台詞は「なんでこんな単純なことがわからないかな」。無論、それは、彼らが足し算引き算程度に考えているほど数字の計算過程が単純ではないからに過ぎない。▼データから読み取れる最も浅い”辻褄合わせ”を披露しながら社会の意思決定層を小馬鹿にする、この冴えない遊びが酒の席で同僚の失笑を買っているうちはよかったのだが、ソーシャルメディアの力を得て拡散力が備わると、類が友を呼んで手がつけられなくなった。顎の力がなくても噛める優しい”真実”を知って目から鱗を落とす者や、自分と同じ考えを持つ覚者の存在に感動する者……を巻き込んで、夥しい軍勢を為したドンキホーテが象牙の風車を薙ぎ倒していく。なぜ、賢さへの憧れはかくも強烈なのだろう?
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