東方連奏曲 Pianoforte

作品情報

創作後記

本来なら制作期間をまず書くべきなのでしょうけれど、なにしろ空いた時間に少しずつ作っていったものですから、 正確なところはわかりません。かけた時間比で言えば、大体(耳コピ):(打ち込み):(ベロシティ調整)=1:2:5くらいのものです。実はほとんどの時間がベロシティ調整に取られていたりします。毎度のことではありますが、 出来る限り自然なタッチを表現するために、隣のピアノで弾いた感触を試しつつ、 全音納得いくまで手動でベロシティを調整しました。最大のこだわりポイントですね。 そのかわりデュレーションはMIDIライクにきっちり揃えてあります。こちらはあまりいじるとかえって不自然に なってしまうということもあり……なかなか調整が難しいのです。ちなみにマウスで打ち込んでます。 MIDIキーボードなんてものは持ってないのです。

それと誤解の多そうなところですが、連奏曲はメドレーのことではなく、ひとつの曲をふたつ以上の同じ楽器で 演奏することです。ピアノを二台つかっていますので、連奏曲です。

繋ぐ曲の順序は最初に全部決めて、途中で一曲だけリストラされるなどマイナーチェンジは入ったもののほぼその通りつないでいます。今回のコンセプトは原曲重視ということなので、当然キーをむやみに変えることは許されませんから、つなぐ順番やつなぎ方にはえらく苦心しました。妥協したところはないつもりですが、改めて聞きなおすとその苦労の跡が残っているところもちらほらあるようです。あと第二部に映姫さまにお越し願ったのは、もちろんgの曲が他にどうしてもなかったからで……当初の紅・妖・永・風でメドレーを作るという計画はここでただ一曲のために頓挫したわけです。

以下創作の順を追って回想録。

東方曲でメドレーというのはやはりひとつの憧れで、それ自体やってみたい気持ちはあったのですが、 なによりやりたかったのは第三部の最初のマッシュアップです。マリアリをマッシュでやってみたら面白い だろうな、っていう(笑)。それでマッシュアップパートを含むメドレーを作ることを決めました。

原曲79曲を繰り返し繰り返し聴いて、ピアノで音を浚ったあと、キーと進行を考えつつ構成を決めて、 いよいよ第一部にとりかかります。ここは特に何も考えずに、妖々夢のゆったりしたテンポから徐々に スピードをあげていく感じで作りました。なので御柱で一気に加速するまでは、曲調は原曲よりずいぶん静かに なっていると思います。第一部のクライマックスは「信仰は儚き人間のために」のサビです。 この曲のキーさえ原曲キーでいければ、第三部とマッシュした竹取を除いてはオール原曲キーということになったのですが、 前後のつながり上どうしても下げざるを得ませんでした。ここはちょっと無念だったりします。

第二部はおてんば恋娘からはじまって12曲、ひとつずつキーがあがっていきます。 曲のどこでキーをあげるかはなかなか難しいところでしたが、結果的にはどこもさほど不自然なく出来たのではないかと 思います。ラクトガールで一休みしてからは絶対に減速しないと決めていたので、オーエンからケロちゃんまで つっぱしりました。ここの疾走感はお気に入りです。なにしろcisに運命のダークサイドがあって、dにケロちゃんがいたのは ラッキーでした。すばらしい連鎖です。

第三部はマッシュアップゾーン。相性のいい曲同士を組み合わせたものと、曲からではなくカップリングからマッシュを 決めたものの二通りがあります。マリアリ、けーね&もこ、橙&藍が後者です。マリアリは進行が両曲まるで違うので、 溶け合わせるのにえらい苦労しました(笑)。でも当初の目的ですから、ひとまずうまくいって満足です。 絵も素晴らしい絵を御借りすることができましたし……あ、アリス優位なのは私の中では絶対です。 ああやって魔理沙が押し込められるのが大好きです(笑)。

第四部はラスボスメドレー。実はこの部は当初の予定ではなかったんですが、第三部まで構成決めたときに、 ラスボス曲が千年幻想郷しかない(千年幻想郷はうどんげとマッシュする予定でした)のはさびしいということで、 それなら第四部の佳境にラスボスメドレーをやってやろうじゃないかと思い立ったわけです。 終わってみれば一番力が入っていたのはここですね。時間もたぶん一番かかっています。 特に竹取は難産でした。本当に。

ともあれこのようにしてなんとか無事仕上げることができました。一気呵成に書きましたのでどうも後記としてはとりとめがなくなっていますが、ご容赦ください。また、このメドレーをつくるにあたっては、友人のVirus Key君にたいへんお世話になりました。定期的に人に聴いてもらうというのは、モチベーションを保つうえでは重要ですね。なお彼の東方管弦組曲は半端ない出来の東方アレンジですので、もしかまだ聴いたことがなければ是非聴いてみてください。

ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。