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ディスプレイの左右、テーブル下の収納庫、部屋の本棚、リビングの書架、ピアノの上。うちには至るところに辞書が転がっている。よくまあこんなにあるものだと思う。学生時代、辞書・辞典と名のつくものを蒐集する趣味があった。その名残だ。いまでも思い立ったとき適当なぺージをめくってみて読むことがある。▼O・ヘンリーは若い頃、どこへ行くにも必ずウェブスターの辞書を片手に携えて、暇さえあれば読み込んでいたらしい。当時の批評家さえ驚嘆させたという彼の絢爛多彩な英語の語彙は、そのときの辞書趣味によって培われたとも言われている。もっとも彼にしてみれば、ただ好きだから読んでいたというだけのことだろう。語彙醸成の手段として辞書を読むのは、あまり効率がよくない。偏愛ありきの遊びである。▼ところで私がいちばんよく読んだ辞書はどれだろう。そう思って見まわすと、書架にあった。オックスフォードの現代英英辞典。間違いなくこれだ。
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